●以下は12人の識者による1年間(99年9月より00年8月)をふり返ってのコメントである。
参考として,はじめに編集部がメディアより採取した資料を掲出したが,コメントはこれに拘束されず,自由に所見を開陳していただいた。
■99年9月1日 評論でカット引用OK 「漫画,絵と文は一体」
新ゴーマニズム宣言 批評本 東京地裁初判断
漫画「新ゴーマニズム宣言」を批評する本でカットを許可なく使われ,著作権を侵害されたと主張して,漫画家の小林よしのりさんが,批評本の著者らに販売禁止と2600万円余の賠償を求めた訴訟で,東京地裁は31日,小林さんの請求を退ける判決を言い渡した。漫画に出てくる文章だけでなく絵そのものの引用が許されるかが争点になったが,森義之裁判長は「漫画は絵と文が不可分一体となった著作物で,絵についても引用が認められる」と述べた。批評を目的とした漫画の引用をめぐる司法判断は初めてという。
問題とされた批評本は「日本の戦争責任資料センター」事務局長の上杉聡・関西大学講師(日本近代史)の「脱ゴーマニズム宣言」(東方出版)。従軍慰安婦問題をめぐる小林さんの主張に反論するために1997年11月に出版された。この中で「新ゴーマニズム宣言」などの漫画のカットが無断で使われたため,小林さんが「(上杉氏の本は)絵に対する批評ではないので引用は文章だけで十分。絵の引用は正当な範囲を超えている」と訴えていた。
判決理由で森裁判長は,著作権法が認めた批評目的の引用の要件について@二つの作品が明瞭に区別できるA引用する著作物が主で,引用される著作物が従の関係にある―との2点を示し,「この要件を満たす限り,著者が必要と考える範囲で引用を行うことができる」と述べた。
文だけでなく,カット全体を引用したことについても「絵と文が一体となった漫画で自己の主張を展開しているのだから,絵自体ではなく作者の主張を批評の対象とする場合でも,それを正確に示すには絵も引用する必要がある」と指摘し,引用されたすべてのカットを適法と判断した。
判決後の会見で上杉さんは「小林さんの主張はアジアの元慰安婦たちを傷つけていると考え,出版した。漫画の主張には漫画を使わないと有効に反論できない。引用権が漫画に認められたのは画期的」と語った。
小林さんの代理人の中村裕二弁護士らは「引用本が,小林氏の名前と作品の人気に便乗したのは明らか。こうした引用が許されるなら,人気漫画のカットを無断使用した便乗本がちまたにあふれ,作家の創作意欲を失わせる」とコメントした。
(毎日新聞)
■99年10月5日 東京藝術大学大学美術館の開館。開館記念展「芸大美術館所蔵品展」は「教科書で見たことあるでしょ」のふれこみが功を奏して記録的な入場者数を出した。
■99年10月 東京国立博物館に平成館オープン
7月の法隆寺宝物館のリニューアルに続き,保存から展示へを前面に。これまで特別展のたびに常設展示物を一時避難させていたが,そのためせっかく来ても常設展示をみられずということが続いていた。
(日本経済新聞)
●このバカデカイ建物の空間を埋めるためだけに年何回もの企画展とやらが開かれるとしたら,またしても展覧会のための展覧会という浪費を強いられることになりはしないか。ロビーだけで神奈川近美の別館の広さ!
■99年10月30日 川崎市岡本太郎美術館オープン
1779点の収蔵品は,太陽の塔原型など貴重なものばかり。資産価値は数十億円とも。岡本氏は現在の川崎市高津区生まれ。生前,同市からの作品売却依頼を「分散してしまう」と固辞していたが,十数回の交渉の末「売らないけど,あげる」と快諾し,ほぼ全作品を寄贈した。
(読売新聞)
■99年11月 日本ゼロ年展(水戸芸術館現代美術センター)
■99年11月1日 下降線たどる客足:さまよえる美術館
「ゴールデンウイーク人出総括表」によると,池田二十世紀美術館3,400人,伊豆テディベア・ミュージアム10,800人。池田二十世紀美術館によると,入館者数は年間約170,000人を記録した91年以来,減少の一途をたどり,98年度には,65,000人にまで落ち込んだ。美術館離れは全国的な現象だ。文部省の調べでは全国の国公立・私立美術博物館の入館者数は90年の約3,200万人をピークに下降線をたどり,96年度には約2,500万人まで減った。美術系博物館の1年間の開設数も95年の84館から96年度には105館に伸びその後も微増したが,98年度には減少に転じた。
バブル期までは各地に誕生したものの,景気の冷え込みとともにパイの奪い合いが始まり,展示の先進性や芸術上の価値を追求するだけでは立ち行かなくなってきたのである。「美術館という名前はいらない」。山梨県河口湖畔にある「河口湖オルゴールの森」は,今年9月の開館後まもなく施設の名称から「美術館」という言葉を取り払った。「閉ざされたイメージだから」というのが理由だ。オーナーで和洋飲食店を経営する鵜飼貞男社長は,「サービス業の目で見ると今の美術館のありようは信じがたい」と語る。河口湖オルゴールの森には10月の三連休中,8,200人の来館者があった。
その運営は昨年,約80万人が訪れた箱根ガラスの森のノウハウを受け継いでいる。どちらも入口は,避暑地に建つ別荘のようなたたずまいだ。「女性客に“私の美術館"という意識を持って欲しいからです」と鵜飼社長は話す。「私の場所だと感じた女性は,次は恋人と,その次は家族と一緒に何度も来てくれる」。丹青研究所によれば米国ではここ数年,こうした美術館の「パーソナライゼーション(自分化)」の研究が進んでいるという。美術館の大小を問わず,米国では来館者の教育レベルや年収までも調査し,サービス向上にしのぎを削る。オルゴールの森の試みは,はからずも日本の美術館関係者の意識の遅れを浮彫にしている。
(日本経済新聞)
●はたして,そうか。美術館の事業を興業師のそれと勘違いしているのではないか。
■99年11月2日 宙に浮くコレクション:さまよえる美術館
大阪府は87年,「世界に誇れる文化拠点に」と美術館を核にした現代芸術文化センター(仮称)の建設を構想,これまでに約8億円を投じて約7,000点の美術作品を収集した。しかし90年代に入って財政危機が深刻化し,建設は凍結。購入作品のほとんどは,大阪市内の民間企業の倉庫に“お蔵入り"となった。倉庫代は年間4,400万円かかる。コレクションは形成したのに,肝心の常設展示場ができない,大阪府と同じ事態が大阪市でも起きている。
構想中の市立近代美術館(仮称)の開館は,当初予定の今世紀中から大幅に遅れ,早くても2006年以降にずれ込む見通しだ。所蔵品725点には,約19億円で購入したモディリアーニの「髪をほどいた横たわる裸婦」をはじめ,ダリ,佐伯祐三ら著名作家の作品が多数含まれる。「死蔵は避けたい」(市教育委員会)と展覧会を年1回,1ヵ月程度の期間で開いているが,会場は中心街から離れた大阪・南港のアジア太平洋トレードセンター(ATC)。一日の賃貸料は70万円。ATCは市の第三セクター。「これで赤字運営の穴を埋めるつもりでないか」という声が美術関係者から出るなど,不況下での文化行政運営の難しさが浮き上がっている。
(日本経済新聞)
●国を始め地方自治体の文化行政というものが,「余剰金でまかなう」程度の発想にしかささえられていない。この錯誤を改めない限り愚行は続く。
■99年11月3日 文化芸術支援
景気の低迷が長引くなか,企業が生き残りをかけてリストラなどに取り組む陰で,芸術・文化の受難が続いている。西武百貨店や西友の業績不振でセゾン美術館が今年2月閉館した後,個性的な活動で評価の高かったカザルスホール(東京・御茶の水)も,親会社の出版社「主婦の友社]の経営不振から,来年3月には貸しホールに転身する。
●貸しホールと企画活動の併用がもともとのあるべき姿。企画だけでやっていけると踏んだところが大間違い。銀座辺りの画廊経営のノウハウを見習うべしとの声あり。
■99年11月3日−7日 第6回NICAF(東京国際フォーラム)内外87画廊から2500点。前回の109画廊,約4000点に比べると小規模になり,依然,美術市場には景気低迷の影響がうかがえる。「日韓文化交流会議」,美術ジャーナリズムについての討議あり。
(日本経済新聞)
●このフェアは本当に業界活性化のカンフルたり得ているのか。縁日の出店よろしく軒を並べてみたところで,気楽に買えるものではないのだから,と来館者。
■99年11月4日 迫る独立行政法人化:さまよえる美術館
東京上野に“地下都市"を建設する構想がある。東京国立博物館,西洋美術館など国公立の美術館・博物館,東京芸大や東京文化会館などの各文化施設とJR・京成の上野駅を地下で直結,商店やレストランを併設した地下プロムナードをつくり,上野全体をひとつながりの文化拠点にするという壮大なプランだ。キャッチフレーズは「上野の山をルーブルに」
構想を提案したのは国立西洋美術館の高階秀爾館長。その脳裏にあったのは,2001年4月に予定されている国立美術館・博物館の独立行政法人化だ。
行政改革の一環として実施される独立行政法人化は,国立の美術館・博物館などに国とは別の法人格を持たせ,業務の効率化を目指す政策。独立採算制ではないが,企業会計原則を採用,国の予算の代わりに交付金を受け,民間からの寄付金などと共に美術館が独自に運営する。業績の評価では外部機関のチェックも入る。
入場料など収入が運営費の一割程度しかないといわれる日本の国立美術館は,厳しい運営を迫られる。高階氏はそうした新時代の美術館運営に際し,集客のために地下を有効活用しているルーブル美術館が手本になると考えた。「企画展を開く時だけでなく,常に人が来るようにしておかないといけない。それも,見学者の問いかけに即座にこたえられる双方向型の美術館を目指す必要がある」
(日本経済新聞)
●気持ちはわかるが博物館へ足を向ける人とアメ横へ行く人とでは精神のヴェクトルが違うのではないか。いかなフランス人でもルーヴルとクリニャンクールとを結びつけるだろうかの声もある。
■99年11月4日 展覧会の図録「軽薄短小」に来館者「豪華本」を敬遠?
ポーチ入り,分冊方式…
芸術の秋。各地の美術館・博物館で展覧会が盛んだが,展覧会の記録としてつくられる図録に異色版が相次いで登場している。化粧ポーチに入れたりテーマ別分冊にしたりと,かさばるのが嫌われてか,薄く,小さく,ポップになってきた。大判写真をふんだんに使い,豪華さを誇る「重厚長大」主義は曲り角にきているようだ。
「以前は図録を来館者5人のうち1人が買う人気展もあったが,最近は購買率が20人に1人くらいに落ち込んでおり,10人に1人で好成績とみられるようになってきた」。仏教大で博物館の運営について約20年教えている野田泰通・奈良そごう美術館館長は語る。
図録が立派になりだしたのは20年くらい前から。
全国を巡回する大規模展が流行し,新たな収入源として図録が重視されるようになったためだ。写真は大きくカラーは当たり前,厚<,装丁も豪華になる。最近の重厚長大派は2000円前後が主流という。
ただ,豪華な図録は家庭で本棚の飾りになるが,サイズがバラバラで,数が増えるとかえって収蔵にこまるようになる。古書店でも「掘り出し物を集めた地方での単独開催展とかの図録でないかぎり,高くは買い取れない」(広岡倭りーち社長)とあって,厄介者扱いされやすい。図録は当面,薄く,軽くなる方向に進みそうだ。
(日本経済新聞)
●図録の役割とは何かを考えれば,ことはそう単純ではない。ケースバイケースというのが実態ではないのか。
■99年11月9日 高尚だからアートなのか 越境する「美術」と「芸能」 人気呼ぶタレント・歌手の個展 美術家がバラエティ番組出演
「美術界は前へ前へ進むことを前衛と呼び,横へ広がることをやってこなかった。でも,それも前衛だと思う。その意味で僕たちの「製品」は,昔の「工芸」に近い」と話す(明和電機)。
専門誌よりも情報誌評論家よりも一般の多くの人々,といったマス志向,エンターテインメント志向は若い美術家や学生にも見られるといわれる。
(朝日新聞)
●高尚とは「俗っぽくなく,気品があるさま。程度が高く上品なさま」(集英社国語辞典)をさす。「高尚だからアート」ではなく,「アートは高尚」なものなのだ。宴会の隠し芸程度のことをアートと称する方がおかしい。
■99年11月11日 にせ物?感動は本物? 「美の価値」問う機会にも 複製美術館が人気 贋作扱う小説・まんがも
大塚食品製薬グループが創立75周年を記念して,発祥の地徳島県鳴門市に総事業費400億円で作ったのが大塚食品国際美術館。ミケランジェロの「最後の審判」「天地創造」の他,「モナリザ」「ゲルニカ」など1000点を陶板に焼き付けですべて原寸複製。選定は東京大学青柳正規教授。昨年3月に会館し初年度で予想を上回る30万人が来館。
(朝日新聞)
■99年11月15日 人気再爆発の故岡本太郎 価値観再構築の時代に美術の領域超えた支持
(朝日新聞)
■99年11月27日 岡本太郎が“爆発だ!"「没後4年」前に関連出版続々
“多面体"の魅力に再評価著作集,秘書の回想,人物論……
(読売新聞)
●亡くなる前はそ知らぬ顔していて,亡くなったとみるや手のひら返してヨイショに回る図といえば,映画「モンパルナスの灯」でジェラール・フィリップ扮するモディリアニが行き倒れて死ぬのを見届けてからすぐさまアトリエに引き返し,作品を買い占めたあの画商となにか通じるものがあるような……。
■99年12月25日 都の文化芸術施設,迫られる自助努力 サポーター制など模索
「私の責任で必ず変えて見せます」―厳しい運営状況が続く東京都の文化・芸術施設について,石原慎太郎知事は最近こう力説する。財政難のなか,都は補助金の抑制などを打ち出し,施設の自助努力を促そうとしている。「文化は値段で測れないものがある」とも言う石原知事だが,施設側は民間企業との連携を模索するなど,収支改善に躍起だ。
(日本経済新聞)
●「自助努力」という名の押しつけだったりしなければいいのだが……。
■99〜00年 「震災と表現」展(芦屋市立美術館),「震災と美術」展(兵庫県立近代美術館)など,震災5周年を機にした催し物の開催。
■00年1月13日 都写真美術館の新館長に徳間氏 「トトロ」のノウハウでヒット連発に期待
ロバート・キャパの報道写真の隣に「もののけ姫」や「トトロ」が踊る。そんな美術館がお目見えしそうだ。
全国初の総合写真美術館として1995年にオープンした東京都写真美術館(目黒区)の新館長に,徳間書店の徳間康快(やすよし)氏(78)が就任することが12日までに内定した。石原慎太郎知事が自ら就任を要請,同社役員会での承認を条件に快諾した。徳間氏は,大ヒットした映画「もののけ姫」などを手掛けたアニメ制作部門「スタジオジブリ」の映像ノウハウを生かした,ざん新な美術館にする考えを明らかにしており,お堅いイメージの公立美術館が一変する可能性も。
芸術・報道写真と映像資料約2万点を収蔵する同美術館は,写真・映像文化の中心的役割を担うことを期待されたが,年間入場者数は20万人に届かず,収支も大幅なマイナスに陥っている。徳間氏には「経営手腕と芸術的センスに期待して」(石原知事),白羽の矢が立てられた。同氏は取材に対し,「額に入った写真が並んでいるだけでは客は来ない。中学生や高校生も毎日見に来るような,珍しい美術館にしたい。館内でファッションショーがあってもいいじゃないですか」と抱負を語った。
(毎日新聞)
●公立美術館が私企業の常設興業館とならなければよいがとの観測もあったが,徳間氏死去により,今後の対策がまたれる。
■00年1月14日 丸木俊さん死去 「原爆の図」
夫・位里さんと制作享年87歳。夫の位里さんは95年に亡くなっている。
(毎日新聞)
●ノーベル平和賞の声もあった作家だったが,国内的な評価は意外に小さかった?
■00年1月24日 都心の芸術にもリストラの波
池袋・東武美術館,閉館へ
東京・池袋の東武美術館が,来年3月で閉館することが決まった。東武グループ全体の不採算部門見直しの対象になった。閉館後の跡地利用は未定。
同美術館は,東武鉄道と東武百貨店が共同出資した株式会社として1992年6月に開館。池袋駅や東武百貨店につながるビルの1階から3階までを使っているが,出入り口や空調を百貨店から独立させたり,収蔵庫を設けたりして,百貨店・電鉄系美術館では唯一,国宝・重要文化財を公開できる施設だった。
この特性をいかし,「エルミタージュ美術館展」を皮切りに西洋の名画の紹介展や日本・東洋の古美術展を中心に開催してきた。19世紀フランスの画家ドーミエの風刺版画の収蔵でも知られた。同じ池袋駅をはさみ,昨年2月に閉館したセゾン美術館が現代美術中心だったのと好対照で,共に都心の美術館として親しまれた時期もあった。
(朝日新聞)
●その内容を云々する以前に,問われるべきは開館8年にして閉じるという不見識の方であろう。
■00年2月3日 藤田嗣治の2絵画を助けて パリ日本館所蔵 劣化…修復費不足,募金呼びかけ本年6月から3ヵ月かけて日仏合同チームで修復されることになった。見積もられた修復費は約5500万円。政府関連や各種財団の支援・助成では,その3分の2しか賄えないという。募金目標額は2000万円で1口1万円以上。
(毎日新聞)
●しかし,修復された絵は日本では公開されないと聞く。
■00年2月4日 都の外部監査無駄放置
次々と未公開の高額絵画100点60ヘクタールの未利用地
東京都は3日,外部監査制度に基づいて行われた監査結果を公表した。都現代美術館(江東区)の収蔵作品に購入価格が5300万円余の油彩画など一度も展示されたことのない高額作品が約100点あった。このほか,外郭団体が60ヘクタールの未利用地をもつなど財政難に苦しみながらも,都の行政には無駄が多い実態が浮彫になった。
外部監査制度は外部の専門家に委託して監査機能を高める目的で,1999年度から都道府県に義務付けられた。都は昨年,監査を受けた。
報告書によると,都現代美術館収蔵の主な未展示作品は,画家,荒川修作氏の「ブランク・ステイションU」(購入価格5356万円),加山又造氏の日本画「白い裸婦の習作」(同5850万円),故菅井汲氏の油彩画「フェスティバルNP」(同545万円),ジェニファー・バートレット氏の油彩画「二つの卵・テーブル・円錐」(同1282万円)など。
購入価格が1000万円以上の未展示作品の総額は1億5000万円以上になるという。
同美術館の担当者は「収集・保管も美術館の大きな役割だが,いかに効率良く展示できるか考えていきたい」と説明している。
一方,江戸東京博物館(墨田区)は,復元展示のため民家や旅館などの歴史的建造物の解体部材を購入したが,工事の予算がつかないため保管せざるを得ず,維持費で年間約4000万円もかかっていることが分かった。また都が出資する都住宅供給公社が保有する60ヘクタールの事業用地が「事業化困難」を理由に放置され,維持・管理費は年間1億2000万円もかかっている。
(毎日新聞)
●都現代美術館にしろ江戸博にしろ長期的な思慮なしにただただ巨大な施設のみが先行したハコモノ行政の典型だが,そのツケは途方もなくデカイし,痛い。
■00年2月9日 タブーうすれた?戦争画 東京近美の内部資料,古書店に出回る
問題の資料は「戦争記録画修復報告」で,1978年に作成された。ハードカヴァー336頁,全記録画153点の修復前と後のモノクロ図版や関連データを,それぞれ見開きで収録。併せて報告は,記録画の制作・接収・返還・修復の経緯なども記述。
修復事業は破損の著しい111点を中心に6年間にわたり,総経費3985万円余を投じて実施された。また,アジア諸国の国民感情などに配慮し,一括展示は控えるとする記述も見られ,報告が以後の記録画取扱の指針となったことを物語る。
しかし,「あくまで部内用の記録資料」であり,「とくに慎重に取り扱われるべきもの」と記された通り,完成した報告は部数限定で非公開とされ,閲覧できるのは同美術館や文化庁の関係スタッフだけに限られた。
今回,古書店に出回ったものの売り出し価格は豪華本並みの高値。これを入手した美術関係者は近く美術雑誌に全文を掲載する予定という。
(毎日新聞)
●ホッチキスで留めた書類じゃあるまいに,数千万円の税金を使って修復した絵画の顛末を高価な書籍造りの報告書にしたものが限られたお役人の為だけに制作されていいのかどうか。だいいち,作ったけど隠すという精神構造はなんだ!
■00年3月7日 森アートセンター2003年初頭開設発表される
六本木6丁目地区再開発計画に伴うもの。54階建て高層ビルの最上部5層を占め,エントランスロビー,収蔵庫を含む延床面積2万3770u,そのうちギャラリー面積約6200uで国内最大。自由な発表活動をサポートする様々なプログラムを予定,主に近現代美術,建築・都市計画,デザイン,ファッション,映像,マルティメディア,アジア・日本の伝統芸術及び現代美術,近現代都市文化と多岐。さらに,MoMAとの世界初の提携により,国際的レベルでの文化交流が展開されるという。MoMAが森アートセンターの設計監修・展示プログラム等の企画に参画し,同センターのスタッフや学芸員とともに活動する。また,インターナショナル・アドヴァイザリー・コミッティ制度を発足させ,MoMA,ロイヤルアカデミー・オブ・アーツ(ロンドン),ポンピドゥ・センター,ドイツ国立美術展示館の各館長,チーフキュレータをメンバーに迎え,同センターの国際的活動及び巡回展企画,人的交流がサポートされる。館長は未定だが,全世界から人選を開始しているという。
(美術の窓)
●この遠大な計画がラッパでなければよいが。
■00年3月12日 文化財所有権も移転 国立美術館などの法人化 政府検討
政府は2001年4月に国立博物館や国立美術館が独立行政法人に移行する際に,現在は国有となっている仏像や絵画の所有権を各法人に移転する方向で検討に入った。政府は「経営を任せる」という独立行政法人の設立趣旨を踏まえ,各法人に文化財などの国有財産を所有させるのが筋との判断だが,国以外の機関に処分権限まで含めて移管することに反対論も根強くあり,移管する場合は会計上の扱いなども詰める必要がある。文化財の扱いは独立行政法人設置に伴う大きな調整課題になりそうだ。
(日本経済新聞)
●気になるのが東京近美にある戦争画153点。米国より国に永久貸与されたものだが,国から独立行政法人へ又貸し出来るんですかね。
■00年3月18日 「横浜トリエンナーレ2001」開催概要決まる。
期間:2001年9月2日(日)〜11月11日(日)
会場:パシフィコ横浜展示ホール
組織委員会:国際交流基金・横浜市・NHK・朝日新聞社
ディレクター:河本信治,建畠哲,中村信夫,南條史夫
全体で100人の作家に新作を依頼する予定。第一次選考30作家を紹介。そのうち日本人作家に赤瀬川原平,小野洋子,草間彌生。
新聞が書かない[横浜トリエンナーレ]これだけの疑問 名古屋覚
●「新たな総合へ向けて」というテーマは何も言ってないに等しい。
●「とにかく日本で国際展を」だけで一致した4人で一人前のディレクターたちと,あくまでも地域振興に役立てたい横浜市との思惑のズレ。
●ディレクターと「対話のできる作家」として第一次選考でえらばれた作家の顔ぶれは食傷気味の常連と,日本でやるのに日本人作家が3人,それも2人は海外の評価て選んだのが歴然の作家,「落下傘部隊と逆輸入品」。
●国際展では後発の日本が,世界的に意義のある展覧会をするならば,よその国際展では見られない才能を紹介する以外にないと思われるのに,有名作家のオンパレードでは。
●インターナショナル・コミッティという名が連なっているが,日本でやる展覧会で,そんなに外国人の意見を「仰」がねばならぬのか。4人のディレクターたちは,そんなに自信がないのか。
●記者発表資料に「予算」が抜けているのは何故か。当初想定された予算は5億円から10億円(因みに光州ビエンナーレは15億円)だったが,国際交流基金が1億2千万円,横浜市が8千万円を拠出する方針が決まっただけで,残りはまだメドが立たないという。今回,予定の100人の出品者の内30人しか発表できない理由がこうしたことによるとしたら,「展覧会をつくるスリリングな過程を楽しみたい」と,ディレクターの一人建畠氏は述べていたが,早くもスリリングな話になっている。
●国際交流基金トリエンナーレ準備室長は「みんなが注目せざるをえない展覧会にしたい」というが,NHK,朝日新聞社が主催に入ると,新聞他社がそっぽを向くという愚がさけられるか。
●トリエンナーレ会場となる「赤レンガ一号倉庫」はヴェネツィア,シドニーの会場に酷似した「猿真似」といわれそうな選択。似たような会場に同じ顔ぶれの作家。既にある国際展とどこが違う?」
(「LR」19号)
■00年4月3日 低迷する公立美術館 バブル期,官も民もこぞって美術館を建てては,高価な美術品を買い集めた。それが,いまでは民間の美術館は続々と閉館に追い込まれ,個人所蔵の名画は人知れず海外に売られている。公立美術館も,運営は厳しい。建物の新設・増設や作品の新規購入がままならなくなり,展示計画のずさんさを露呈した館も少なくない。不況下,県立美術館を開設予定の青森県,ミレーで全国的に名をはせた山梨県立美術館,「中身」を用意したが「器」を作れなかった千葉県松戸市,財政難を機に手持ちの“お宝"に目を向けた栃木県立美術館を例に,公立美術館の現状を探った。
山梨 展示室が狭く,せっかくの「お宝」も収蔵室で眠ったまま。県の財政難で展示室の増築も儘ならぬのが現状。
青森 シャガールの舞台背景画「アレコ」3点を約15億円で購入したが,価格の妥当性が審議されていないなどの疑義が次々と浮上。市民団体から「購入経緯が不透明だ」などと批判されている。県は公文書を全面開示したが,市民団体はさらなる真相究明を求めている。なお,同館の収集品の8割以上が県出身作家の作品。「美術館の目玉は県出身作家の作品にすべき」との声が強いが,同館は「バレエ用の舞台背景画なので,舞踊や音楽を踏まえた芸術パーク構想のコンセプトに合っていた」「常設展示は県出身の作家のものが中心になると思うが,アレコは美術館のシンボル。アレコに沿って(他の美術作品を)収集するわけではない」と話している。
栃木 予算削減で運営厳しく,手持ちの作品展示で「倹約」。
千葉 松戸市は,シルクロードにまつわる美術品を47点も収集した。19年ほど前,市美術館を建設する構想がスタート。当時の建設調査会が,[シルクロードの終着点である日本的美の特徴]とするテーマをまとめ,これを受けた市が関連の美術品の収集を集中的に図った。かかった費用はざっと2億円。しかし,構想の中身にシルクロード色を出しすぎてしまったため,地元美術会が反発。さらに追い打ちをかけるように,シルクロード美術品の贋作事件が全国で多発したため,市議会の中でも問題が紛糾。結局,結論が出ないまま,美術館建設構想は棚上げ状態となった。
その後,89年に美術館に代わって博物館構想が浮上し,同館が建設された93年,居場所の定まらなかったシルクロード関連の美術品も移管された。しかし現在までに,全点公開の展覧会が3年前に一度開かれただけ。そのほかは,他の博物館などに時々貸し出しを行う以外,地下の収蔵庫に眠ったままだ。
松戸市博物館の古里節夫学芸員は「美術品としてはすばらしいものばかり。貸し出しの機会を増やしたり,展示コーナーを作って少しずつ公開していきたい」と話しているのだが―。
(毎日新聞)
■00年4月7日 新風巻き起こせるか 二つの国際美術展 2000年・新潟 2001年・横浜
新潟 越後妻有地域の6市町村を舞台に7月20日−9月10日「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ」。総予算3億円。イリヤ・カバコフ,ダニエル・ピュレンヌ,蔡國強ら140作家,うち斎藤義重,村岡三郎,河口龍夫,國安孝昌ら日本勢が半数。同展の特色は,決まった展示会場を持つ他の国際展とちがって,作品が約760平方キロの野外各所に展示され,かつ三分の二ほどはそのまま恒久的に設置されることだ。
横浜については既出。
(毎日新聞)
■00年6月9日 アメリカの彫刻家ジョージ・シーガル氏死去(75)。
■00年6月〜7月頃 若林奮《緑の森の一角獣座》を含む東京・日の出町のごみ処分場トラスト地の強制収用が決定。
●この問題どこかおかしい。処分場設置決定後に作品が作られたとか,作品自体が処分場設置を前提としたものであるとか、トラスト運動のためにアートが使われている感ぬぐえず。
■00年6月17日 金持ちは悪? 岩淵潤子(静岡文化芸術大学助教授,美術館運営・管理研究者)
四月から,浜松に今年開校した静岡文化芸術大学の文化政策学部(筆者のホームページ,http://www.turukame.com/を参照)で教えるようになって,突然,十代の学生たちと向き合うことになった。講演会などでは社会人と話すことが多く,ティーン・エイジャーに囲まれるのはいささか勝手が違う。しかも,「文化芸術大学」でありながら,彼らが美術館に対して余り良いイメージを持っていない,それどころか,「美術品コレクター」,「芸術のパトロン」という言葉に,かなりのアレルギー反応を示すのには驚かされた。
美術館の成り立ちを歴史的に解説し,メトロポリタン美術館をつくったアメリカ経済黎明期の財界人についてのヴィデオを見せて感想文を出させたところ,実に三人に一人までもが「金持ちは見栄で美術品を集めるものとばかり思っていた」,「本当にその作品が好きで絵を買う人がいるとは思わなかったので,アメリカの富豪たちがたくさん絵画を購入し,惜しげもなく美術館に寄付してしまうのは信じられない」などと書いた。「日本の美術館は収蔵品が少ないので,一日では見つくせないほど巨大な美術館が本当にあるとは思ってもみなかった」と述べた学生も少なくない。
高校を卒業したばかりの若者が,「芸術のパトロン=見栄っ張り」,あるいは,「金持ち=悪」という単純な図式を頭の中に思い描くのに,私はいささかの衝撃を覚え,また,考えこんでしまった。これほどの数の学生が似かよった反応を示すということは,彼らが育ってきた環境の中で,彼らにそう思い込ませるだけの事実,あるいは,情報に日常的に接してきたということなのだろう。こうした刷り込みは学校教育の中で起こってくるものなのか,それとも,メディアを通じた情報を彼らが吸収しただけか?
美術コレクターを否定的にとらえることが十代の子供たちにまで浸透しているのは,大人たちの「ヴェンチャー企業=うさん臭い」説にどこか共通するものがあるように思う。このままでは「見栄っ張り」だと思われるのが嫌だからと,美術館に作品を寄贈するコレクターが増えないばかりか,創業社長を目ざして起業することじたいが,あたかも「恥ずかしいこと」として,若者たちに敬遠されることにもなりかねない。
アメリカで多くの若者がミリオネアを目ざして創業し,また,成功した財界人が競って大学,病院美術館,オペラなどに数億円単位の寄付をするのは,それが市民の総意として「良いこと」だと評価されているからである。お金を儲けることは必ずしも良いことではないが,それを社会のために役立てれば「尊敬に値する」というピューリタン的発想が,アメリカの非営利活動を支えている。日本においても経済の再生と芸術・文化の活性化を望むなら,価値観の一大転換が必要かもしれない。
(読売新聞)
■00年6月24日 美の女神,青息吐息,近ごろ日本の文化事情
夏休みに美術館を訪ねる人も多いでしょうが,お気付きのように,話題を集める展覧会がぐんと減った。理由は,国内美術館の多くが自治体の予算削減や企業のリストラのあおりで,運営が危機的な状態にあること。
◎美術館―不況が直撃,底の浅さ露呈相次ぐ予算東結や閉館
展示室を除くと,事務室,廊下,洗面所など,壁一つ向こうの美術館の裏方の世界は,いたるところ薄暗い。電気代の節約だ。
東京の東部,江東区の木場公園にある「東京都現代美術館」は,今年4月から,作品の収蔵費がゼロになった。収集費も含めた運営費の総額は今年度が約15億円。開館した1995年度からわずか6年目で40%も削減された。東京都の財政再建策に直撃されたのだ。
日本には現代美術を中心に収集,展示する本格的な美術館は少ない。このため,開館当時は期待を一身に集めていた。が,早くも,作品の購入は不可能。電気代など維持費をどう減らすかにもっぱら頭を痛める毎日だ。
といっても,むやみに電気を切れば,一定の温度,湿度で管理している約一千点の日本画,油絵などの収蔵品を傷めかねない。それより問題なのは,前に催したアンディ・ウォーホル展のような特別企画が立てにくくなったことだ。
欧米に比べて収蔵品の乏しい日本の美術館の多くは,海外から借りだした著名美術品の特別展示で観客を集めてきた。これには交渉,輸送方法,保険料の折衝など二,三年の準備がいる。福永治・普及部長は「運営費が乏しくなれば(進行中の)契約を一方的にキャンセルせざるをえない危険性もある。そうなれば,日本の信用問題でもあるし……」と思案も尽きた表情だ。
作品の購入も,特別展示もままならない。美術館の機能は半分マヒの状態である。しかし,これは都現代美術館だけではない。
国内の主要美術館で構成する全国美術館会議には330館が加盟している。公立私立が半々の割合だ。その多くは運営費,作品購入費の削減凍結の目にあっている。館長たちの声を代弁して同会議の中山公男会長は「ようやく美術文化が社会に根付こうという時に,自治体も企業も底が浅い。
不況で苦しいこういう時こそ文化への支えが必要なのだ」と訴えている。
(朝日新聞)
●まさに,美術行政などあってなきがことし,の実態がこれである。「去年から,何も買ってないと嘆く美術館館長も情けないが,文化を後世に伝えるのが美術館の役割と認識する程度では予算はぶんどれないと思わなければならない。
■00年6月28日 ルネサンス美術,凸版がデジタル化 伊ウフィッツィ美術館と協力 約2000点,保存・活用へ
凸版印刷はイタリアのウフィッツィ美術館(フィレンツェ)と協力し,ルネサンス期を中心とする絵画や彫刻作品をデジタルデータに変換する。約2000点に及ぶ美術館の全作品を今後3年間かけてデジタル化し,美術品の保存やネットワークなどを通じた事業に活用する。凸版印刷は中国の故宮博物院(北京)ともデジタル化で合意しており,今後は海外での提携事業を欧州にも拡大していく。
日本企業がイタリアで美術館と組んで作品のデジタル化に取り組むのは初めて。デジタルカメラで美術品を撮影,凸版の画像処理システムで加工する。凸版とウフィッツィ美術館をインターネットで結び,画像を確認できる体制も整える。活用方法を共同研究することでも伊政府と合意した。
ウフィッツィ美術館はボッティチェリやミケランジェロの名作を収めるため「ルネサンス美術の殿堂と称される。劣化が危ぶまれる美術品の保存を進めてきたが技術や資金の不足がネックとなっていた。
(日本経済新聞)
■00年7月5日 DNPアーカイブ 美術関連ネット販売 複製画や雑貨 郵貯利用し決済
大日本印刷の子会社であるDNPアーカイブ・コム(東京・中央,山崎博史社長)は,インターネットを通じて複製画や美術関連グッズなどのアート製品を販売するサービスを開始した。郵便貯金を活用した電子決済サービスを利用するため,購入者は郵貯口座さえ持っていれば即時に決済できる。新設したホームページ「楽注楽買」(http://www.rakuchu.com/)を通じてサービスをおこなう。
当面は大日本印刷が扱う複製画モナリザをモチーフにした雑貨類,ポストカードブックなど33点を販売。今後は他の企業や芸術家が制作した製品も販売する。また大日本がフランス国立美術館連合と共同で電子化している美術品のコンテンツ(情報の内容)を生かし,ネットでコンテンツを販売したり関連グッズを開発する。
利用者は購入したい製品を選んで名前やメールアドレス,郵便番号などを入力すれば,自動的に郵貯口座から料金が支払われ,注文した製品が届けられる。初年度は1億円,翌年度は6億円の売上高を目指す。
(日本経済新聞)
■00年7月19日 小林英樹「ゴッホの証明」(情報センター出版局)でワシントンナショナルギャラリー所蔵のゴッホ作品「左利きの自画像」を贋作と指摘。右利きだったゴッホが右手にパレットを持つはずがない,というのが理由で,それを「証明」してみせている。小林は日本推理作家協会賞を受賞した前作「ゴッホの遺言」では,ゴッホが1880年10月,弟テオに送ったとされているスケッチで現在オランダ国立ゴッホ美術館所蔵作品をも贋作ときめつけて話題を呼んだ。その解説は精緻を極めていて,とりわけ,最終章で贋作者を特定していくくだりはスリリングだ。
●小林の指摘を前に沈黙している美術史家,評論家は,なぜだ。
■00年7月25日 東京六本木のストライプハウス美術館が7月一杯で閉館。「いい作家に巡り会わなくなった」のが理由と館長の塚原琢哉氏。
(朝日新聞)
■00年8月21日 「資料でたどる時の忘れもの戦争期の美術―画家はいかに戦い,敗れたか」展
(ギャラリー川船)現代美術資料センターを主宰する笹木繁男氏最後の企画展示。戦前戦後に渡る数多くの雑誌から分厚い画集に至るまで段ボール箱100個余りの資料を画廊に集め,観覧者には手にして見ることをすすめる異色の展示。戦争期のいわゆる美術の空白の時代を資料で補完するものとなった。資料は笹木氏が十余年かけて私費で集めたもの。展覧会終了後は文化財研究所への寄贈を決めている。氏はこれ以前にも段ボール箱800個分の寄贈をしているという。
●願わくは,これらの資料を是非一般にも公開して欲しい。それが笹木氏の意志と思う。
■東京銀座の佐谷画廊(00年春),新木場のSOKO
東京画廊,神田の真木・田村画廊(00年9月末)など一時代を画した有名画廊が相次いで展示スペースを閉める。