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辰年に“龍”を聴く |
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東京新聞 2000年1月7日(金) 野原耕二 音楽プロデューサー |
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我が家にも牛、寅、兎に辰が並び新年を迎えた。 唯一架空の干支である辰を手製年賀状に認めるには、絵心のないものにとって至難の業である。九種の生き物を合体させた上、魚の鱗で全体を包み、そのうち一枚の逆鱗をも描き出すことは。 平安期、管絃雅楽は3つの管楽器によって構成された。笙、ひちりき横笛である。笙は天の音であり、鳳凰にたとえた。ひちりきはその音色、音域から世俗を表した。天変地異の災いに地から天を駆け上がる龍に祈りを込め龍笛とした。尺八、簫(しょう)などの他の管楽器を排除した古代日本人の宇宙観の創造性であり、素材である竹の形而上学でもある。 辰年に龍を聴く。「源九郎判官義経、薄墨の笛という笛、御寄進あるなり」義経が奥州平泉に逃亡する途中、久能寺(現在の清水市鉄舟寺)に託したという龍笛。横笛奏者赤尾三千子が昨年その龍笛で舞楽「蘭陵王」と自作曲「薄墨」を録音したテープである。秀吉時代、駿河大名中村一氏によって補修されていたこの「薄墨の笛」は楽器としての能力を保っていたうえ、平成の補修で蘇る事が出来た。源平の合戦の相手の平敦盛の「青葉の笛」は風化寸前状態であるというから奇跡である。800年の時を越えた音空間が創造されたと言えよう。 |
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